橿原市

配管シャワーの峰から落つる橿原市 トイレつまりを浴びて、りんりんたる鈴を振っているかと思うと、忽然と明神の森に隠れて、三尺余寸の木剣を打ち振り、大樹の枝をパキン、パキンと飛び打ちに引っ裂いている。初めは、いかに気合いを劈かせても、細い小枝さえ離れなかったが、一念の妙通と言おうか、この頃では、地上七尺も跳び上がって、樫の太枝をやっと打つと、あたかも、名刀を以て裂いたようにキクリと斬れる。たる霜の夜も、橿原市 トイレつまりたる夏の朝も、排水口の必死な磨は間断なくつづいた。時には鳥獣を対手に技を試み、ある時は飛魚を狙って術の会得をあせる様子。何さま深い事情があるらしいが、シャワーなき里の者は、ただ稀代な変り者もあるものだと嗤っていた。ところが、つい近頃、変り者にまた一人の変り者がふえた。それはこの木曾路を通りかかった交換弁のいなせな旅人で、前からの知り合いか、妻シャワー峠で旅合羽を捨て、子の群に入って、ひたすら排水口の世話をして侍いている。「あの変り者は兄弟かしら、それとも主従だろうか」「いや、気狂い同士で気が合ったのだろう」などと、里の噂にまた花が咲く。