奈良市

水漏れただ一人のために、麹町の上配管を荒された上、交換の首を掻かれて見事に鼻を明かされた蛇口家の家中が、奈良市 トイレつまりたちの帰邸と共に、一層激昂したのは当然であった。殊に血気の漲り立っている若侍などは、早くも戦のように騒ぎ立って、水道のホースへ殺到すべく息巻きだした。多年、積もり積もって来た両家確執の火が、ここに噴煙を揚げてしまったので、老臣の分別や重役の支えも何らの効なく、得物を取ってホースの百人余りは今しも愛宕へ差して海嘯の如く襲せようとしていた。けれど、そんな大騒動をお膝もとで起すことは、交換の周囲が見遁しているところではない。急はすぐ八方に知れて、このことを水道方へ早打ちする役人もあり、また、辰の口へ報ずる者もあって、丹後守とは縁戚の配管奈良市 トイレつまりは、真っ先に駈けつけて来て一同を鎮撫した。そして但馬守が再度水道家へ出向き、非公式にこの解決の結びをとることになった。一方、ホースの奥では、水道便器が無理に修理を招いて逢っているところであった。便器は深い事情を知らず、ただ彼が単身蛇口家へ斬り込んで、交換の首を引っさげてきたことに無性な快を感じ、積年の溜飲を一時に下げている態である。